DCF(NPV、IRR)法で投資判断をする(2/2)

まずは所与の情報からベースシナリオでのエコノミクスを作ってみました(詳細はこちら。またここまでのエクセルシートはこちらからダウンロードできます→dcf_2.xlsx 直)。ただこれで「分析」を終わらせてしまっては単なる計算機の仕事でしかありません。ここからが皆さんの腕の見せ所、頭の使いどころです。

STEP.2・・・ベースシナリオに欠けている情報を判断する

ベースシナリオはあくまでも一つの見解。それが十分にリアリティを表しているかどうかを見てあげる必要があります。今回のケースは架空のものですから、なかなかリアリティはわかりませんが、常識的に考えれば「既存のオレンジシャンプーユーザーが新商品にシフトしてくる可能性がある」事がわかります。いわゆるカニバリぜーションですが、これによるキャッシュフローのマイナス分も見てあげなくてはなりません。

プロジェクトの投資判断というのは、「プロジェクトをやった場合」と「やらなかった場合」の比較になりますので、新商品のキャッシュフローに加え、新商品の導入に伴い付随するキャッシュフローの増減についても検討し上げる必要があるわけですね。そういった「決定的に欠けている情報」を加えたり、「決定的に間違っている情報」を修正したりして、最終的なNPV、IRRに基づく判断をすることになります。

STEP3・・・感度分析をして「どうしたらできるか?」を考える

カニバリぜーションを反映させると、NPVはマイナス、IRRはハードルレートを下回ってしまいました。これでは投資実行できません・・・
ただし「できません」という代わりに、「こういう点が改善されればできます」と言い換えるほうが意思決定者にとっては優しいでしょうね。できないというのは小学生にでも言えますが、エコノミクス作成過程を通じて、このビジネスの経済的な特徴を最も把握しているのも定量分析しているあなただからです。

ひとつのヒントは感度分析です。それぞれのインプット項目(今回のケースだと、Yr.1の売上、原価率、投資額、カニバリゼーションの度合いなど)が変化した時に、どのくらいNPVにインパクトを与えるのかを算出し、最もNPVがプラスになりうるシナリオがどのようなものなのかを導き出すために有効的な手段です。

下記の動画では、エクセルを用いて感度分析を行う手順について解説をしています。ご参照下さい。